昭和５１年０７月２７日　朝の御理解



　御理解　第６５節
　「日柄方位は見るにおよばぬ。普請作事は、使い勝手のよいのが、よい家相じゃ。よい日柄というは、空に雲のない、ほんぞらぬくい、自分に都合のよい日が、よい日柄じゃ。いかに暦を見て天赦日じゃと言うても、雨風が強うては、今日は不祥のお天気じゃと言うではないか。日のお照らしなさる日に良い悪いはないと思え。」

　こんなおおらかなというか、本当におおらかと言うが一番でしょうね。こういう御理解は金光教祖ならでは、お説き出来られない事だろうと思いますね。今日改めてその事を思わせてもらいます。もうそれこそ宗教によっては、日柄方位はもちろん、それを看板にしておる宗教すらもあります。あれを食べてはならんこれを飲んではならん、こうしちゃいけん、あぁしちゃいけんと言う様な、その堅苦しいものがひとつもない。
　もう始めから最後までそうですね。日のお照らしなさる日に、良い悪いはないと仰る。お天道様が出なさらんごとなった、らともかくお天道様が出てござる、おはたらきを下さる間は一つも心配な事はない。もうそれこそ本当にこれは教祖ならではお説きになれない、また教祖が開かれておる心の状態が、本当にこの御教えで分からせて頂く気が致します。あぁじゃいかんこうじゃならんと言った様なものではない。
　先日から頂きましたあの御理解、リラックスということを頂きましたね。こんな楽な生き方があるだろうか、ですからね、金光様の御信心を頂いて、私共が本当に教えを本気で行じてそしてこの事実をね、まず知る事ですよ。日柄とか方位とかよい家相じゃとかとね、まぁ色んな例えば約束というものがありますけれども、私共が生きていく上に真実の幸せを頂くためには、こういう心の状態にならなければ幸せとは言えないと思う。だからここまでの境地を開くまでが、私は金光様の御信心だと思いますね。
　ですからもうこういう心の状態になったら、おかげも楽ぁくに頂けるのです。教祖様は、あぁ仰るけれどもやっぱり日柄は見らにゃおられんと。家を建てる時には一生に一度しか建てんと言うごたるいわば家だから、やっぱり神様にみて貰わにゃと、それが家相とか日柄とかではありません。一事が万事そうなんです。神様のおかげを頂かなければ立ち行かんのだから、いや神様のおかげの中にあるのだからね、そのだからおかげを頂きとめる心が、和賀心であり真に有り難しという心なんだ。
　だからこの御教えがもう実に素晴らしい大らかな、いわゆる現代風に言うならばリラックスなです。それでいてもう本当に楽な人間の幸せの条件の全てがね、足ろうてくるほどしのおかげの頂けれる御教えなんです、これが身についた時です。言われたからそうすると言った様なものじゃなくてね。例えばここに出ております、日柄とか方位とか良い日、悪い日はないと言う様な事を、まぁだんだん皆さんが知ってくる。
　ところがこの事だけを知っとっても、外の事の全てが楽な頂き方が出来ないなら、また理屈は同じです。これは日柄方位だけの事じゃないです。昨日研修の時に末永先生が話しておりましたが、私はとうとう読まなかったんですけれども、この前のあのう金光教徒新聞にある大阪地方の青年教師の方が、阿倍野の伊東先生、伊東こう先生ですね、私が何年前にかお会いにいったその先生です。先生の御信心をお伺いした。どうすりゃこういう大変なごひれいが頂けるだろうかと。
　そしたら日々楽しゅう御用を頂いておりますと言わっしゃったげな。今日の六十五節なんかがもう本当に、真の髄からそうだということを信じきっておられる。だからあの信者の中には、さぁ先生どうしまょうかというて、泣きついてくるような者もありましょう。けれどもそれが神愛だと分かり切っておられるのですから、楽なお取り次ぎが出来ておる、楽しゅうその人達が助かる。
　昨日私ある方の難儀な問題をもう願っても願っても、右と願えば左、左と願えば右になると言った様な方の、お届けをさせて頂きよりましたら、あのうここの入り口にあのう車止めと書いてあるでしょうが、あぁ言う様な感じでね、あぁいう立て札がたってる。そして合楽示現と書いてある。ところがその立て札がです、もうこう歪んだごつなっとって、上のほうが崩れとるごとなっとって、まぁいうなら見る影もないような立て札なんです。だから信者の中にです。
　例えばどういう、難儀な状態の中にあっておってもです、その人が一心に向こうて来よる限り、もうそういう難義なところを通れば通る程、合楽示現になるんだということです。何故って、おかげが絶対だからなんです。途中でやめれば知りません。けどどういう中にあってもです、願っても願っても、願いの成就がないような、場合であってもです、神様に向かうていきよる限りはです、まぁその人は必ずおかげになると、まぁ信じとりますけれどもね。
　少ぅしは不安であったり、どうしてじゃろうかという気持ちがあるのでしょう。その合楽次元の看板自分はだという、その自分がおかげを頂いたら、合楽示現のいうならば看板にもなるほどしの内容を持ちながら、まぁ今んところではしだごだのような状態なんだけれどね。これがおかげを頂いた暁には、そういうところを通っておれば通っておるほどもう親戚、知った者までがです、もう本当にあんた金光様、金光様ばっかり言うちから、どうのと言う訳なんです。
　私の修行中もそうでした。もう知っておる人が親切に私を思ってくれる人は、皆んなそげん言いました。大坪さんはあなたほどしの腕を持ちながらあんた、わざわざそげな破れ靴を履いて破れ鞄をさげて破れ服さげて、あんたのそういう状態を見ちゃおられん。何とか商売の手立てをつくっちゃどうの、少々の資本なら私が出してやっも良いけんと言う人もありました。そういうのはもうあっちこっちからありました。
　ですからそういうところを通っておれば通っておる程、なら私がおかげを頂いた暁には、はあやっぱり神様じゃなということになる訳でしょう。だからそう言う様ななら右と願って左、左と願って右と言った様な時でもです、楽くぅな気持ちで神様の働きを知らんから、皆さんがあぁ言ってくれておる、親切は有り難いけれども、ということになるのじゃないでしょうかね。
　私の福岡から帰りました時に、父と母がなんかこう威儀を正して私に何か話したいというのです。そしたら父が申しました。「もう大抵辛抱しとったばってんから、あんたが一向に商売をすると言った様な気もないしね、今のままだったらもう私だん、ばばさんと話よる。お四国さん参りなっとんせな、しょんなかと言いよるが、あんたどうか」とこう言う訳です。ところがそれば聞いたら、もうおかしゅうしておかしゅうして堪えんとです。もうそれこそ先を知らんもんだから。
　神様のはたらきを知らんもんだから、もうおかしゅうしておかしゅうして、両親は涙ながらに私に言いよるとです。いうならば首に袋下げてでんごとなるという、しらくのそれこそ真剣な話なんです。しかもです父が大体ものを言うた事のない人が、それだけの事を言うのですから、もう大変な一心を持って私に言っておるわけです。そこで私がこんこんと神様のお話しをさせて頂いた、御祈念御祈念と言うて一家中の者で御祈念をさせてもろうて、御祈念の後に御理解を頂くとまた力を得て、んならまあひと頑張りのと言う様なそういうことはもう本当にいつもありました。一番ひどいのはそのことでした。
　「もうあんたがいうならば、私どんの言う言葉聞かんでから神様神様と言うなら、決して信心ばやめろとは言わんけれども、家が立ち行く様にだけはしてくれ」とこう言うのです。「このままでいくならば、私どんが四国参りなっとんせなしよんなかばい」て、それこそ子供に言う程しの所にある。それを聞きよると心の中からもう湧いてくるんですおかしみが。もう笑うまいと思うても笑わにゃおられん。私はこういうのがね合楽示現活動の看板を立てとるならです、本気で素晴らしい看板を立てとる時だと思うですね。
　先は分からんけれども、けれども本当に頂くとは頂けるだろうかと、不安な状態があっておるのが、そういう素晴らしい合楽示現の看板の下ごしらえが出来ておるのに。もう少し不安な気持ちでおられると、いうことじゃないかとこう思ったんですね。リラックスと言うのはどういう中にあってももう人がね、父がそう申しましても、私しがもうおかしゅうしておかしゅうして堪えんと言うのは、本当にいかにリラックスであったかということが分かるでしょうが。
　そういうところを頂かせて頂いて、今日おかげ頂いとるからです、そりゃ信心は出来ませんけれどもね。私は昨日その末永先生のお話しを聞いてですね、伊藤先生が本当に日々楽しゅう御用をさせて頂いておる、それがこの阿倍野教会の御ひれいですよと言われたというのです。私共がまぁそこが本当のスッキリとしたものがなくっても、私もやはりその生き方だと思うのです。
　ならどういう難儀な問題を持って来ても、私がはぁ良かとこ通りよると言うて、手をたたくと言う様な事を申しますのは、私の心の中にそれこそ、リラックスな心の状態があるからです。あんたが一心に向こうてさえくりゃ、大丈夫というものがあるからです。いやあそこを通らにゃ分からんもんの、というところがあるからです。だからこれをもっともっと垢抜けしたものに、していかなければならんと言うのです。
　そして今度はその青年教師の方がです、泉尾の教会長先生に会われたと。三宅先生です。そして先生の御信心をまぁお伺いをした。そしてその阿倍野の先生が言われた事をお話しになったら、それはね「剣山の上に座っておられる喜びだ」と仰ったそうです。剣山というのは花を立てるあれを剣山と言いますね。いうならば通る所を通らなければその楽しゅうて楽しゅうて、有り難とうて有り難とうてという心は、開けんのだと言われた。私は自分で自分の信心を思ってみます時にです。
　そういうもう本当に人からいろんな注意をして貰う、まぁ注意をせん人は笑いよった事でしょう。金光様、金光様とぼうけてしもうちからと、言うて笑いよったでしょうけれどもです、そういう中にあっても私の心の中は、まぁ何と申しましょうかねもう喜びで一杯だったということなんです。皆さん金光様の御信心は本当にリラックスでいかにゃいかんです。楽な気分というならばです、どういう事柄であろうが、これが死に生きるの問題であろうがです、いうならいつもがままよという心です。
　親先生のお取り次ぎを頂いて死んだのだからと言う様なですね、こげな楽な気分というものが開けてこにゃいけん。お願いしとったばってんこうじゃったと言った様な事では、、本当なリラックスな心でもなからければ、楽におかげ頂けれる道は開けません。もうギリギリの私は問題はそうだと思うです。お願いをさせて頂くいうならばね、世にいうなら名医と言う人があります。名人と言われる先生がおられます。その先生に手を取ってもらって死んだのだからと言うわけです。
　合楽の親先生のお取り次ぎを頂いて、こうなのだから、その心がリラックスです。そこで自分達の心の状態の中にです、イライラソワソワがないかどうか、悲痛な心がないかどうか、心配不安がないかどうか。もし心配があり不安がありイライラがあり、そういうものがあるとするなら、この六十五節の、こう内容であるところのです、もう金光教祖でなからなければ、説き得られなさらんであろう、こういう素晴らしい心の状態は、開けてこないです。
　私は末永先生のその話を聞いて、なるほど泉尾の先生は、もうそれこそ自分もしが死ぬる時に安楽往生でもしたら、自分の言うて来た事は嘘だと言われた事があるそうです。自分は絶対苦しみ抜いて死ぬるだろうと言っておられる。という程しに私あんた方の事を思うとるんだと。もう死に際まであんた方の難儀をかろうていくんだという、御精神らしいとても私共が足元にども及ぶ事じゃないのですね。そこに例えば泉尾の先生と、阿倍野の伊藤先生の信心の相違がありますけれどもです。
　やっぱりどこまでも教祖様の御信心を頂くならば、教祖様御自身がお隠れの時にです、もう「あぁ心やすし」と言うのがお最後の言葉だったと言われております。それぞれの信心の性格がありましょうけれども、合楽の方達はどこまでも、やはり合楽でいかなければいけんです。楽くぅな気分で信心させてもらう。修行やらばしだごだにせろということじゃ決してありません。んならどういう修行でもです、楽くぅに出来れるひとつおかげを頂かなければいかんということです。
　伊藤先生が楽しゅう、日々お取り次ぎの御用をさせて頂いておりますと。それがいうらば阿倍野教会の御ひれいだと言われるのはです、いうならやはりお若い時からこういう生き方を、身につけてこられたからではなかろうかと、これは私想像するんです。十八か九であんなさった時分にあの講談かなんかを聞かれた。そしてあの継母と息子さんの話を聞いて、私の生き方は一生もうこれで行こうと、決められたという話がありますね。昔の継母さんというのは、子供をいじめるのを継母さんと言いました。
　お魚をしてももうほんな食べられんごたる、そのう頭なら頭だけをくれたと。だからその息子はお母さんがね、自分に人の頭になれ頭になれと言うて、頭をつけて下さったというて喜んだ。それから今度はもうほんな尻尾のとこだけをつけた。したら大阪あたりでは尻尾の事を尾と言うんですね。尾と言う尻尾の事を。だからお母さんが私に王になれ、王になれと言うて、この尻尾をつけて下さったというて喜んだと。それで継母さんがよけい腹のたってから、真ん中の良かとこだけつけたと言う。
　そしたらもう自分位のものに、こんなところを食べさせてもろうてというて、どこを押しても有り難い、勿体無いで受けたという話を聞かれてです、私の一生はこれで行こうと決めたといわれるんですから。以来もう現在八十何歳でおありでしょうが、何十年間をこの生き方で来られたということがです、もう本当に自分にこげなもんば食べさせてから、てんなんてん全然思わんです。もうみんな神愛みんな神様のお計らいとして、神愛として受けてこられた。成程楽な信心でおありになったなという風に思うです。
　「行く先はどこの果てか分からねど、喜びだけは持って行きたい」というのです。行く先はそりゃあ分からん、死んだ先のことじゃからどげなとこか分からん、地獄やら極楽やら分からんけれども、どういう地獄に行くでも、喜びだけは持って行きたいとこう言われる。昨日の一時のご理解の中にもありましたね、あの世というところは無明の世界、これは昨日初めて頂いた御理解です。塗板に今控えておりますでしょう。あの世ということは、無明の世界明かりのない世界。
　いわゆる根の国底の国とまあ日本じゃ申します。それがあの世なんです。だからこの世で魂を清め磨いて、心に光りを頂いていかなければ行けるところじゃないと。そこで光りを持ってあの世に行く、その人の世界が光明世界ということになるのだというのが、昨日の昼の御理解でしたがね。自分自身が光りを持っていくんだ。いうなら行く先はどこか分からんけれども、喜びだけは持っていきたいという生き方を、私は身につけていくのが教祖の御信心だと思うんです。
　だからどう言う様な事にでも喜べれる、いや喜びで受けるというそれこそ伊藤先生じゃないですけれども、一心発起が大事です。このことはいやこのことはどうということではない。一切を喜びで受けて行こう、そこに心が楽になるのです。神愛と分かれば分かる程、どういう場合であっても、心でそれこそ叩かれながらでも、心にしれっと笑いたいような心が生まれてくんるです。
　私は今日この六十五節から実感しました事は、今日皆さんに聞いて頂いたような事を実感したんですけれども、もう一辺読みますから、なるほどこんな楽なこんな大らかな御教えがあるだろうか、しかもこういう御教えをですね、いうならあらゆる他の宗教に求めようとしてもない御教えです。そういう例えば感じを、この六十五節から感じたんですが、もういっぺん読みますから、なるほどそうだなぁというものを、一つ受け止めて頂きたいと思います。
　「日柄方位は見るにおよばぬ。普請作事は使い勝手のようのがよい家相じゃ。よい日柄というは、空に雲のない、ほんぞらぬくい、自分に都合のよい日がよい日柄じゃ。いかに暦を見て天赦日じゃと言うても、雨風が強うては、今日は不祥のお天気じゃと言うではないか。日のお照らしなさる日に良い悪いはないと思え。」と改めてこの、御教えの偉大なものを今日は感じた気が致します。
　　　どうぞ。